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加藤 博康*; 中澤 俊之*; 上田 真三*; 柴田 雅博
JNC TN8400 99-069, 41 Pages, 1999/11
圧縮状態のベントナイト中での収着現象の評価の一環として、酸化/還元環境により原子価が敏感に変化するU,NpおよびTcについて地下還元環境を模擬した還元性雰囲気中での見かけの拡散係数測定を実施した。ベントナイト試料には山形県産のNa型ベントナイトであるクニゲルV1(クニミネ工業株式会社製)を用いた。乾燥密度ならびに試験液性依存性を測定するために、下記の条件にてIn-diffusion型の拡散試験を実施し見かけの拡散係数を測定した。取得された拡散プロファイルは一様でなく、複数の拡散プロファイルが混在する場合も見られた。各拡散プロファイルに対して解析を行い取得された、還元環境下での見かけの拡散係数の範囲を以下に示す。元素:U 乾燥密度1.4(g/cm3)/純水系:1.210-151.210-13(m2/s) 乾燥密度1.8(g/cm3)/純水系:1.110-141.710-13(m2/s) 乾燥密度1.8(g/cm3)/3wt.%NaCl溶液系:9.310-152.110-14(m2/s) 元素:Np 乾燥密度1.4(g/cm3)/純水系:2.410-151.610-14(m2/s) 乾燥密度1.8(g/cm3)/純水系:1.610-144.910-14(m2/s) 乾燥密度1.8(g/cm3)/3wt.%NaCl溶液系:1.310-152.610-14(m2/s) 元素:Tc 乾燥密度1.4(g/cm3)/純水系:7.010-157.410-13(m2/s) 乾燥密度1.8(g/cm3)/純水系:2.210-145.210-13(m2/s) 乾燥密度1.8(g/cm3)/3wt.%NaCl溶液系:1.910-153.510-13(m2/s)
佐藤 治夫
JNC TN8400 99-065, 379 Pages, 1999/10
第2次取りまとめにおいて、岩石マトリックス中の実効拡散係数設定のための拡散係数のデータベース(以下DBと略称)を整備した。本DBでは、実効拡散係数(De)、見掛けの拡散係数(Da)、自由水中の拡散係数(Do)の3種類の拡散係数を取り扱った。また、19801998年に公表された文献を対象として以下の点に留意して整備した。(1)第2次取りまとめは、我が国の地質環境を対象としていることから、国内の岩石を対象として整備する。(2)地層処分の性能評価では22元素を重要元素としているが、汎用性を考慮して全ての元素または水溶性トレーサを対象とする。(3)対象岩石の内、堆積岩に含まれる石灰岩については、天然資源となり得ることから、DB整備の対象から除くものとする。物質移行および地質学的観点から、岩種を結晶質岩(酸性)、結晶質岩(塩基性)、堆積岩(砂質岩類)、堆積岩(泥質・凝灰質岩類)の4種類に分類した。また、結晶質岩の内、中性付近の岩石については塩基性岩とした。DBは、各岩種単位で構成される。各岩種毎のDBはさらに各元素単位で整理し、各元素毎に化学種、岩石名、拡散係数(De,Da,Do)、取得条件(方法、間隙水、pH,Eh,温度、雰囲気など)、文献など24項目の情報を入力した。調査の結果、結晶質岩(酸性)に対するDeは、全部で18元素及びトレーサ(炭化水素)、207件のデータが報告されており、その全てが花崗岩、花崗閃緑岩、黒雲母花崗岩などの花崗岩類であった。結晶質岩(塩基性)に対しては、玄武岩、安山岩、片岩について、6元素、32件のDeデータが報告されていた。堆積岩(泥質・凝灰質岩類)に対しては、泥岩、泥質片岩、凝灰岩について、8元素、54件のDeデータが、また、堆積岩(砂質岩類)に対しては、珪質堆積岩について、1元素、11件のDeデータが報告されていた。これからも分かるように、データは花崗岩類に偏る傾向が見られた。一方、砂質岩類に対するデータが少ないことも分かった。各岩種ともDeは概ね間隙率と相関性が見られるものの、Daについては余り相関性が見られなかった。他に、形状因子や幾何学因子と間隙率との関係、Deとイオン電荷、Do、元素との関係など、様々なパラメータ間の関係についても議論した。
佐藤 治夫
JNC TN8400 99-060, 12 Pages, 1999/10
ベントナイト中の見掛けの拡散係数(Da)に及ぼす珪砂混合の影響を評価するため、Na型ベントナイト(クニゲルV1)を対象として、Cs(Cs+), Ni(Ni2+), Se(SeO332-)のDaを乾燥密度1.8Mg・m-3、珪砂混合率30wt%、室温の条件にてin-diffusion法により測定した。Cs及びNiについては大気雰囲気下で、また、酸化還元電位に敏感なSeについてはAr雰囲気の低酸素条件(酸素濃度0.1ppm未満)で測定した。その結果、Cs及びSeのDaには珪砂混合の影響は認められず、得られたDaは、これまでに報告されている珪砂が混合されていない系での値と同程度であった。一方、Niについては、珪砂混合系でのDaは混合されていない系での値より2桁小さい値が得られた。これまでに報告されているNiのDaは安定同位体のトレーサを用いて測定されており、本研究で用いたNi濃度よりかなり高い濃度のトレーサが使用された。さらに、クニゲルV1の主要粘土鉱物であるNaモンモリロナイトに対するNiの分配係数(Kd)は、Ni濃度の増加に伴って小さくなることが報告されている。このことから、珪砂混合系でのベントナイト中のNiのDaが大きく減少したのは、間隙水中でのNi濃度の違いによる収着の違いによるものと考えられる。
山口 徹治; 中山 真一
Journal of Contaminant Hydrology, 35, p.55 - 65, 1998/00
被引用回数:29 パーセンタイル:63(Environmental Sciences)アクチニド元素は地下水中で炭酸錯体として溶存するという説が有力であり、放射性廃棄物の地層処分の安全評価計算への入力データとして、炭酸錯体の岩石内拡散係数が必要とされている。そこで、稲田花崗岩中におけるU,Pu,Am炭酸錯体の拡散係数を透過法で調べた。実験は大気雰囲気中、25Cにおいて、0.1M NaHCO/0.01M NaNO水溶液を媒体として、直径40mm、厚さ5mmの花崗岩ディスクを透過拡散させた。この条件下ではU,Pu,AmはそれぞれUO(CO),Pu(OH)(CO),及びAm(CO)として溶存すると考えられる。ウランとプルトニウムの実効拡散係数はそれぞれ、(1.420.24)10及び(5.12.0)10m/sと求められた。アメリシウムの透過は検出されず、Amの見かけの拡散係数の上限値は1.310m/sと見積もられた。UO(CO)の実効拡散係数は過去に取得したUOの実効拡散係数に比べて4倍大きい値であった。